『確かにここはホワイト企業だ。でも辞めたい。退職したい・・・。』
人も羨むホワイト企業に転職・就職したのに、何らかの理由で退職を決意される方もいらっしゃいます。
今回はそんなホワイト企業から退職を経験されたライターさんに、記事を書いていただきました。なぜ日本では貴重なホワイト企業を、辞めたいと思い、そして退職する運びとなってしまったのでしょう?
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私は20代のとき、印刷会社でスキャニングの仕事(スキャナーという機械を使って画像、書類などをスキャンする仕事。近年は電子書籍や書類のペーパーレス化の流れで仕事が増えている)をしていました。
その会社では残業はほとんどなく、さらに有給休暇を取得したいと申し出たときにはいつも快く取得させてくれました。
残業がなくて休みを取得しやすいという面では、身体的にも負担があまりなく、プライベートも充実させることができて非常に働きやすかったと思います。実際この会社に勤めていたとき、残業の多い職場で働いている友人や知り合いたちからも、かなり羨ましがられていました。
育児休暇もちゃんとあって、いわゆるホワイト企業だったと思います。
しかし私は、そんなホワイト企業を辞めたいを思うようになってしまったのです。
そんな会社を退職した一番の理由は、仕事にまったくやりがいを感じることができなかったからです。
このスキャニングという仕事、携わっていた方ならお分かりかと思いますが、いつも単調で同じことの繰り返しなんです。
すると人ってどう思い至るでしょう?
『働きやすい環境と引き換えに、こんな単純な仕事ばかりしていたらキャリアアップにはつながらないのでは?確かにここはホワイト企業だ。だけど私の会社を羨ましがっているみんなは、仕事の苦労を乗り越えて成長している。私は・・・。』
そのように思い悩んだ末、『辞めたい』と退職を決意したという次第です。
といっても、すぐに行動に移したわけではありません。やっぱりホワイト企業という職場は魅力的でしたので迷いました。
でも辞めようかどうか迷っていたところに、ちょうど人間関係のトラブルが重なりました。『成長できないのは?』なんてカッコイイこと言いましたが、結局、退職を決意させたのは人間関係のトラブルでした。
せっかくホワイト企業に就職することができたのに、そこで勤めることが退職につながるなんて皮肉なもんです。
冷静になって考えてみると、私の仕事の選び方がそもそも失敗だったのです。
本来就職・転職するにあたり、自分がその会社でどのような仕事をして、将来どういう風になりたいのかということを予め決めておくものです。そしてその目標に沿うような会社を、適切に選ばなければなりません。
ところが私は、自分の将来のビジョンをまったく考えておらず、このホワイト企業での面接のときにも仕事内容をあっさりとしか聞いていませんでした。なんとなく『この仕事なら自分にもできるだろう』という感じでした。
その考えの甘さが、こうして仇になったという訳なのです。
ただ単に残業が無くて、好きなときに休みが取れて、ある程度の給料をもらうことができたら良いというだけであれば、私が以前に働いていたような会社で淡々と仕事をこなしていけば良いでしょう。
しかしそうではなく、将来のためにキャリアップをしたい、バリバリと仕事をしたいということなら、自分の目標をきちんと決めておくべきだと思います。
また人間関係のトラブルも退職理由の1つではありますが、その会社で本当に自分がしたい仕事をできるのなら、それは気にならなかったと思います。
私は仕事内容が好きではなかったせいか、余計に人間関係の悪さが目についていました。
だから自分がしたい仕事ができる会社で働くことができているのであれば、キャリアアップのためにひたすら仕事に打ち込むべきです。
人間関係のいざこざは、ブラック企業でもホワイト企業でも大なり小なりありますからね。
じゃあ実際ホワイト企業に転職しようとするときに、具体的に何を考えて行動すればよかったのか。
今なら分かります。
まず自分が何を目的にしているのか、何をやってどうなっていきたいのか、ということを一番に考えるべきです。
自分の目的に合致していない会社に転職してしまったら、その会社で働くことに満足できず、何度でも転職を繰り返してしまうことでしょう。
だから転職サイトや転職エージェントを使うとき、エージェント(コンサルタント)としっかりコミュニケーションを図るべきです。彼らは手持ちの会社の、それこそやりがいや社内の雰囲気まで把握していることがあるので、そこもしっかり聞いておくことです。
もちろん自分でインターネットなどでその会社の情報を集めたり、面接の際には仕事内容を詳しく聞いたりと、予めしっかりとその会社のことを知っておくことも大事です。
言わば人としての基礎がしっかりしていないと、私のようにやりがいを感じられないまま、みすみすホワイト企業を退職してしまいます。
ホワイト企業自体が日本には少ないわけですが、今は売り手市場ですので、今後こうした事例は増えていくかもしれません。
中には『ホワイト企業を退職したけど、次の会社が働きにくくてまた前の会社(ホワイト企業)に戻りたい』、なんてわがままな方もいらっしゃると思います。
でもそんなことを続けていると、お金も時間も無駄になってしまいます。実際私も、今まで仕事に対する目的をまったく明確にしていなかったので、転職を何度も繰り返してしまいました。
転職を繰り返せば繰り返すほど、『何故こんなにも転職回数が多いのか』ということを面接のときに聞かれます。最悪は『この人は忍耐力がないのでは?』などと思われ、転職活動が不利になることがあります。
私のようにならないよう、自分が何を目的にしているのか、何をやってどうなっていきたいのかをまず考えましょう。