『やっぱSEって残業ありきのブラックしかないよなぁ。』
デスマーチという言葉があるくらい、IT系、特にSEの仕事にはブラック企業というイメージが強いです。
そこで今回は、SEの管理の仕事をしていたライターさんに記事を書いていただきました。年収よりもやはり時間が大事なようです。
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私は今40代で、IT業界で長年働いています。何度か転職を経験していまして、現在はメーカーのIT部門に所属しています。
前職は金融サービス関係の業界でIT部門に所属し、プロジェクトを管理する仕事をしていました。SEメンバーのサポートや、プロジェクトにかかるコストを管理している時間が多かったです。
前職の会社は、私も含めSEの労働時間管理が徹底されておらず、代休も取ることができないうえに残業管理もあいまいでした。給与は高めですが、体調不良を訴える社員が多かったです。
また自分が担当しているシステムに障害が発生すれば、早朝、深夜、休日関係なく会社から呼び出されます。当時の私はプロジェクト管理寄りの仕事だったので、時間外の呼び出しはめったにありませんが、SEの社員は労働時間がいまだに長めの傾向があります。
当時は時間がいくらあっても足りず、ワークライフバランスはまったく取れていませんでした。
一方で現在の会社は、徹底した社員の労働時間管理を行っているため、私を含め残業時間が劇的に減少しました。
会社の方針として、時間外労働を良しとしない風潮があるのです。月の時間外労働が一定時間を超えると、上司が部下に対し指導することになっています。
さらに有給休暇をすべて消化することが奨励されています。
この違いが、残業時間の削減に大きくかかわっていると思われます。
業界は違うものの仕事内容はほぼ同じなので、会社のルールや社内の雰囲気を把握した後にそれほど違和感はありませんでした。
いわゆる、ホワイト企業に転職できたと思います。
しかしホワイト企業に転職したからといって、すべての問題が解決したわけではありません。
業務が増えても労働時間は増やせないので、常に効率的な業務プロセスの見直しをしなければなりません。
例え繁忙期であっても、労働時間内で質の高い仕事が求められます。
さらに労働時間が短い分、残業代が入らないので年収も下がりました。
しかし『その分早く帰って家族との時間を大切にしたい』『体を休めて健康な生活をしたい』という希望があったので、その願いは転職によって叶えられました。
正直言うと、今まで転職するたびに年収がアップしていたので、年収がダウンしたらどれだけストレスになるのか分かりませんでした。
でも現在のワークライフバランスの充実度を考えれば、決して間違った決断ではなかったと思っています。
そもそも私はもう40代。
会社員として働くのは、長くてもあと10年くらいです。
退職後にやりたいことは何かを模索する時間が確保できたことで、アクティブに仕事以外のことに興味を持ったり、活動したりできるようになりました。
これまでは転職するなら年収アップが大前提でしたが、適度な労働時間で個人の生活を充実させるほうが大切と考えるようになり、転職する際にはいくつかの点に注意しました。
まず転職系のサイトで興味のある会社が見つかったら、社風や現役社員の口コミを必ず調べていました。現役社員の評判は、ときにはかなり辛辣な意見もありますがとても参考になります。
また今までは転職エージェントの紹介で仕事を決めていましたが、自分で転職サイトから応募するようにしました。
転職サイトではたくさんの会社の情報に触れることで、社風や働き方が自分にあっているかどうかを見極めるためにかなりの時間を費やしました。そのうえで、仕事内容や勤務地などの条件に合う会社を絞り込み、自分で応募しました。
さらに気をつけたポイントは面接です。
面接前後の移動や待機の時間に会社の雰囲気を感じたり、社員とすれ違って様子を伺ったりしていました。自分なりに観察して、この会社で働いたらどのようになるかイメージしてみました。
そして面接時には、できる限り質問をして担当する仕事の流れを確認し、時間外労働に対する会社の考え方についてもしっかり確認しました。
今回は年収を最優先事項にしないで転職活動をしましたが、思ったほど年収ダウンのダメージは感じていません。
むしろ自由な時間が増えたことによるメリットを感じています。
働き方改革により残業を減らす会社が増えていますが、このライターさんのように、同時に年収も減る現象が課題になっています。
いわゆる「働き方改革」関連法案に関連して、これまであるようでなかった試算を、大和総研のエコノミスト・小林俊介氏が最近公表し、大きな反響を呼んでいる。
「仮に罰則付きの残業上限が導入されれば、所定外給与(残業代)の削減を通じて、年間8.5兆円の雇用者報酬が下押しされるリスクがある」
副業解禁も話題ですが、よくよく考えればそれをしている時間が残業と変わらないわけですし、まともな収益源になるには時間がかかります。
そのため転職する際に、基本給の高い会社を狙うのが最近のトレンドになっています。
転職するときの理由は人それぞれですが、自分のワークライフバランスについて今一度考えてみることが大切だと思います。