企業から内定を取り消されてしまう、内定取り消し。
主な原因は新卒就活生の側にあることが多いのですが、企業側が一方的に内定を取り消してくることがあります。それが内定切りです。
今回はこの内定切りについて、詳しく見ていきましょう。
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内定切りとは、企業側が内定を取り消すことですが、少々ブラックな意味合いがあります。
通常、企業が新卒就活生に内定を出したあとにそれを取り消すのは、学生側に契約上の違反(卒業できない、SNSの書き込みが不適切、犯罪で逮捕、虚偽記載など)があったときです。もしくは何らかの理由で、企業存続が著しく困難な場合などです。
内定切りはそれ以外に、企業にとって何らかの都合が悪い場合に、契約を無視して一方的に取り消す行為です。
なので内定取り消しとの違いは、そこに正当な理由があるかないかになります。
ではこれまで一体どんな内定切りがあったのか、過去の事例から見てみましょう。
経営悪化を理由に、内定者に内定辞退を迫るケースですね。
内定は正確には「始期付解約権留保付労働契約」という状態です。意味を簡単に書くと、“仕事が始まるまでに何らかの理由によって内定を取り消すことができますよ”という契約です。
この”何らかの理由による内定取り消し”が、内定者ではなく会社都合で適用されるのはよほどの緊急事態のみです。自社が倒産間近であるとか、甚大な災害に伴う事業継続困難な状態などです。
単に『ちょっと業績が悪いから、内定者を減らそうかなぁ。』という程度の理由では、内定を取り消すことができないのです。
ただし、内定者自身が内定を辞退する場合は、容易に手続きが可能です。だから内定者に辞退を迫る内定切りのケースがあるのです。
2013年~2015年にかけ、日テレ女子アナ内定取り消し騒動というのがありました。
2013年当時女子大生だった就活生が、日テレにいわゆる女子アナとして内定を受けた後、クラブでのアルバイト経験を理由に内定を取り消された事件です。こちらは裁判となったのち、2015年1月に和解が成立。就活生は日テレにアナウンス部所属で入社することになりました。
この内定切りに関しては、明らかに日テレ側に落ち度がありました。
まず正式ではないとした場で書かせた職歴に、クラブでのアルバイト経験が記載されていないことが経歴詐称だと主張した点。ということは正式ではないはずの場が、実態は正式だったのですから、詐称していたのはむしろ日テレ側です。
次にそのクラブでのアルバイト経験が、女子アナとしての清廉性に欠くという持論。そもそも清廉性が求められるのは誰でも同じですから、アナウンサーにだけ特に必要とされる資質とまでは言えません。
あまつさえ、クラブで働くことが清廉性を欠く行為だという主張は、クラブで働く人たちに失礼です。
これらの企業側による一方的な内定切りは、自分に落ち度がない場合は抵抗する必要があります。
主な対策方法はこちらです。
といっても、望ましいことに、実は内定切りの件数は減っています。
売り手市場化も一因ですが、それ以上に世間の厳しい声が原因です。
2008年に起きたリーマンショックによる不況により、日本ではこの内定切りが多発していました。しかしこの内定切りが社会的な批判を浴びるようになり、以降、厚労省は悪質な例に限り、内定切りをした企業名を公表することになっています。
また近年は不適切な対応をしたことによる、SNSやネットを使ったネガティブな情報拡散の可能性もあります。企業イメージや売り上げダウンなど、内定切り1つで深刻なダメージを受ける可能性が高いからです。
依然として内定切りの事例はありますので、万が一に備えて、新卒就活生たちも内定切りへの対策方法は知っておいたほうがいいでしょう。
特にNPO法人POSSE。
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とはいえ実際のところ、一方的で悪質性の高い内定切りではなく、内定取り消しの事例のほうが多いのが実情です。例えば学校が卒業できない、SNSで不適切な投稿をしていた、面接で嘘をついていたなど、一般的には学生側に起因する例が毎年あります。
内定したからと言って、気を抜いてはいけません。そして万が一、自分が原因で内定取り消しになってしまったら、再度やり直して就活をし直しましょう。