最近は売り手市場が新卒の市場にも波及しておりまして、就活生を見ていると『ホワイト企業に行きたい!』という様子がうかがえます。
でも具体的にどこがどうだとホワイト企業なのか、実際にいろいろ見てみないと分からないもの。
そこで今回は、ホワイト企業に就職したい新卒就活生が何を重視しどう対策をすればいいのか、少し長いですがまとめてご紹介します。
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まずは残業時間がどれだけあるか。これは新卒就活生だけじゃなく、誰しもが気になるところですね。
厚生労働省の労災認定基準では、過労死の要因である病の発症前1カ月の間に約100時間、または発症前2~6カ月間に1カ月あたり約80時間を超える時間外労働があった場合に、過労死の危険があるとしています。
参照:脳・心臓疾患の労災認定 -「過労死」 – 厚生労働省(PDF)
どの企業も求人票や募集要項に残業時間を明記していますが、正直に書いているところは少ないでしょう。
中にはグループ会社全体の平均で残業時間を明記していたり、閑散期の残業時間を明記していたり、企業が開示する情報のうち『嘘』や『嘘まがい』が最も多い項目が残業時間なのです。
なのでこんな対策方法があります。
始業9時、終業18時(実働8H)の企業で、残業時間が月40時間(2時間×20日)と明記されている会社があるとします。
その会社に21時以降に実際に行ってみて、働いている人がいたり駐車場に社員の車があったりするようなら、その会社は嘘をついている可能性があるということです。もし行くのが面倒なら、同じ条件で21時以降にその会社に電話してみるのも手です。
離職率も気になります。
一般に離職率が高い会社というのは、下記のような特徴があります。
特に4つ目と5つ目に注目しましょう。
対策方法ですが、新卒採用の場合は、その年度内で開催される就活イベントに毎回ブースを出展してくる企業は要注意です。
一般求人も確認してみましょう。ポスティングやハローワークなどで毎回求人が出ている会社は、人材の回転が早い=離職率が高いので要注意です。
また『就職四季報』においても、離職率を『N/A(ノーアンサー)』と非公開にしている企業には注意です。都合の悪い情報が公開できないということは、離職率や他の数値も悪い可能性が高いからです。
有給や育児休暇の取得率も気になるところ。
政府は2020年までに、有給休暇の取得率を70%にまで引き上げることを目標に掲げています。日本の有給休暇取得率は、2016年の時点で約48%程度なので、まだまだ足りないのです。
そこで政府は、有給休暇の取得を義務付ける労働基準法の改正案を検討しています。現在検討されている制度は、発生した年次有給休暇が10日以上の場合、そのうちの5日については有給休暇を取得させなければならないというものです。
現時点の取得率はもちろん、政府のこうした動きと足並みをそろえる動きがあるかどうか、この辺も注目ですね。
ちなみに「イクメン企業アワード」「イクボスアワード」と呼ばれる、育児に理解のある企業や人を表彰する賞をご存知でしょうか?
育児休暇を重視するなら、ここに明記されている企業なんかはホワイト企業の確率が高いと見込まれますので、参考にしてみましょう。
そしてやはりこうした労働に関わる事実や数値を、どれだけ開示しているかも重要です。
最近の就活サイトの企業ページには、月平均の残業時間や過去3年の離職者数などの情報が掲載されています。そのような状況のなか、開示している情報が少ない企業はやはり信用しにくいです。
また求人詐欺という言葉をご存知でしょうか?
これは求人に明記された業務内容と、実際の仕事内容が違うという詐欺行為です。求人票には残業時間は月40時間とあったのに実際は80時間だった、というものがそうです。
なので情報開示の質(嘘や成果の誇張などをしていないか)も重要になってきますが、こちらはなかなか見抜きにくく対策も難しいです。
そのため、先ほどの残業時間の対策のように、実際に足を運んで様子をうかがうことも大切です。ただ、自分で調査するのは困難ですから、後述する就活エージェントのように、就活生の代わりに企業を調査してマッチングしてくれるサービスを活用するのも手です。
確かにブラック企業よりはホワイト企業のほうがいいですが、だからといってホワイト企業がぬるい会社かというとそうではありません。
ブラック企業というのは、経営の失敗を従業員のサービス(サービス残業や低賃金、有給未消化)で補完することで成り立っている状態の会社を指します。ブラック企業と聞いて思い浮かぶその会社、そうじゃありませんか?
逆にホワイト企業というのは、経営の成功が従業員の成果によって成り立っている状態の会社を指します。例えば何十年も黒字経営が続いているホワイト企業は、それだけ仕事の質の高さが維持されているからこそ事業がずっと黒字なのです。
つまりホワイト企業の従業員には、成果が求められるということです。成果を出していなければ、ホワイト企業がホワイトでい続けられませんから、仕事ができる人材にならなければなりません。
このことは頭の隅に置いておきましょう。
ホワイト企業なんて言いますが、要するに労働基準法を守っている普通かそれ以上の会社のことなんですよね。
本来であれば、残業時間がどうとか、離職率が高い低いとか、そんなこと気にしないで就職して適切に働ければいいわけです。でもそうでないからこそ、様々な情報や対策、見分ける方法が必要になってきます。
そして新卒就活生の皆さんが、こうしてホワイト企業を求めることは良い傾向なのです。
実際人手を確保するために、今、企業は必死に『働きやすさ』をアピールし始めていますし、社内の労働改革も推し進めているでしょう。それができない時代遅れのブラック企業は、これからどんどん淘汰されていきます。
最近では、実際に企業に足を運んで離職率や職場の雰囲気を調査し、マッチングをしてくれる就活エージェントサービスもいくつか出始めています。
新卒就活生の皆様、いろんな対策方法や就活サービスを駆使して、ぜひホワイト企業を目指していただけますと幸いです。